ExcelのCopilot、何に使えばいい?|使いどころを「3つのレベル」に整理しました

ExcelのCopilot 3つのレベルのサムネイル AI活用

「押してはみたんです。でも、なんだか微妙で……」

Excelの右上にある、虹色の「Copilot」ボタン。一度は押してみたけれど、「結局、自分でやった方が早いな」と思ってそれきりになっている。そんな方、多いのではないでしょうか。

正直に言うと、僕も最初はそうでした。

少し前までのCopilotは、やってほしいことを伝えても「このように操作してください」とやり方を説明してくれるだけで、実際の作業まではしてくれないことが多かったんです。ChatGPTやClaudeが色々な案を出してくれるのに比べて、提案の中身も物足りない。何に使えばいいのか分かりにくいツールでした。

でも、最近のCopilotは違います。質問に答えるだけでなく、表を作る・数式を入れる・色をつけるといったExcelの中の作業を、直接やってくれるようになりました。

そこで今回は、Copilotの使いどころを3つのレベルに整理してお伝えします。

  • レベル1:単純作業
  • レベル2:関数と見える化の補助
  • レベル3:ミスを防ぐ品質チェック

先に、大事なことを2つ。

1つ目。関数を全部覚える必要は、もうありません。 ただし、何でもAIに丸投げすれば速くなる、というのも間違いです。長年Excelの関数を教えてきた立場から、今日はその線引きも正直にお話しします。

2つ目。全部を覚えなくて大丈夫です。「これなら自分の仕事でも使えそうだな」と思うものを、1つだけ持ち帰ってください。

その前に:お使いのExcelでCopilotは使えますか?

使い方の前に、確認しておきたいことがあります。このCopilot、実は全員が使えるわけではありません。

まずはExcelを開いて、右上に虹色のCopilotボタンがあるかを見てください。ここにボタンがなければ、残念ながらお使いの環境では利用できません。

分かれ目は、Officeの買い方です。

  • 使える:Microsoft 365(Personal / Family などの月額・年額のサブスク)。2025年1月から、個人向けプランの契約者は追加料金なしで使えるようになりました
  • 使えない:Office 2021・2024といった買い切り版、パソコンに最初から入っていたOffice

「うちのExcelは新しいから使えるはず」と思われるかもしれませんが、ここは新しさではなく契約の種類で決まります。会社や学校のパソコンの場合は、管理者側の設定でオフになっていることもあります。

もう1つ。Microsoft 365の契約者には AIクレジットが月に60付与され、Copilotでの操作はこのクレジットを消費します。使い放題ではない、という点は知っておいてください。

※この記事は、Excelの中のCopilot(ブラウザで使うWeb版ではない方)を前提に進めます。

レベル1:単純作業は、まるっと任せる

まずはレベル1。難しくはないけれど、地味に時間がかかる作業です。こういう下ごしらえは、Copilotに任せやすい仕事です。

カレンダーを作ってもらう

たとえば来月のカレンダー。日付を入れて、曜日を揃えて、罫線を引いて、土日に色をつける。難しくはないけれど、1から作ると意外と時間がかかりますよね。

Copilotにはこう頼みます。

2026年8月のカレンダーを作ってください。
日曜日始まりで、土曜日は背景を青、日曜日と祝日は背景を赤にしてください。

送信すると、1分ほどで完成します。日付を入力する手間も、罫線を引く手間も、色をつける手間もありません。「土曜は青、日曜は赤」と完成形を伝えるだけです。

氏名を「姓」と「名」に分ける

1つのセルにまとまって入っている氏名を、姓と名に分けたいとき。

A列の氏名を姓と名の2つの列に分けてください。
元の氏名は残してください。

これも1分かかりません。関数でやろうとすると、名字が2文字なのか3文字なのかの判断が難しいところ。こうした「人間なら見れば分かる」判断が必要な作業こそ、AIの出番です。

住所を3つに分ける

同じ要領で、住所も分けられます。

A列の住所を、都道府県・市区町村・それ以降の住所の3つに分けてください。
元の住所は残してください。

住所は「東京都」と「京都府」が混じっていると機械的に分けにくいのですが、ここもうまく処理してくれます。

共通のコツが2つあります。1つは、指示に 「元の◯◯は残してください」 と添えること。元データが消えると確認できなくなります。もう1つは、珍しい名字や例外的な住所は間違うことがあるので、必ず目で確かめること。

作るのはAI、正しいかを確認するのは人間です。ここまでがレベル1。分ける、揃える、くっつける、決まった形を作る——完成形を目で確認しやすい作業は、任せやすい仕事です。

レベル2:関数と見える化の補助(得意・不得意を見極める)

レベル2は、数式を作ってもらったり、数字を見やすくしたりする使い方です。

ただ、ここでいちばん大事なことをお伝えします。何でもCopilotに頼めばいい、というわけではありません。

まず、自分でやった方が速いもの

たとえば「1、2、3……」の連番。これ、Copilotに頼んでもできますが、「1」と入力して、Ctrlキーを押しながら右下をドラッグすれば数秒で終わります。

簡単な基本操作を、わざわざ文章で指示する必要はないんです。自分でやった方が速いものは、自分でやる。 数式が思いつかないものだけ相談する。この使い分けが、いちばん大切です。

別の表から単価を取り出す(XLOOKUP)

一方で、Copilotが本当に役に立つのはこういう場面です。商品名から単価を持ってきたい。VLOOKUPやXLOOKUPを使うところですが、どの範囲を指定すればいいのか分かりにくいですよね。

この売上表に、右の単価表を見て商品ごとの単価を入れる式を作ってください。

XLOOKUPを使った式が返ってきます。やりたいことは分かっているけれど、数式の作り方が分からない。 この場面が、Copilotのいちばんおいしい使いどころです。

締め日から翌月末の支払日を出す(EOMONTH)

A列の締め日から翌月末の支払日を求める数式を、B列に作ってください。

ちなみにこの時、Copilotから「支払日はB列とC列のどちらに出しますか」と聞き返されました。少し前まではこんな確認はしてくれませんでした。ここでも進化を感じます。

答えはEOMONTH関数。日付の関数は種類が多くて、普段使わないものはなかなか覚えられません。目的は分かっているけれど、どの関数を使うか分からない。 そんなときは、関数を探す時間をまるごと減らせます。

電話番号から市外局番を取り出す(LEFT+FIND)

03-1234-5678 から 03 だけを取り出したいとき。LEFT関数とFIND関数の組み合わせですが、考えるのが面倒なら任せてしまいます。

A列の電話番号から、最初のハイフンより前の文字だけを取り出す数式を、B列に作ってください。

同じ結果を出す数式は1つとは限りません。返ってきた式が難しく感じたら、そのまま聞き直せます。

もっと簡単な書き方はありますか?
Excel 2016でも使える数式にしてください。

1回で希望どおりの答えが出なくても、諦めなくて大丈夫です。 言い方を変えて、もう一度相談してみてください。

ここがいちばん伝えたいところ:作ってもらった式の「意味」を聞く

Copilotに数式を作ってもらって、そのまま終わりにしないでください。 もう一度、こう質問します。

今作った数式が、なぜこの結果になるのか、初心者にも分かるように説明してください。

すると、こんなふうに解説してくれます。「FIND関数で最初のハイフンが何文字目かを探しています。3文字目ですね。そこから1を引いた2文字分を、LEFT関数で左から取り出しています。だからB2は03になります」——

これが、すごく勉強になるんです。

以前は、分からない関数があると参考書やネットで調べる必要がありました。でも今は、自分が実際に使っている表を見ながら「この部分はどういう意味?」「ここを変えるとどうなる?」「他の方法はある?」と、その場で聞けます。

自分の分からないところが、そのまま教材になる。

頼む → 作ってもらう → 意味を聞く。この順番で使うと、Copilotは作業を代わりにやってくれるだけでなく、Excelの先生になります。関数を全部丸暗記する必要はありません。でも式の意味を少しずつ理解しておけば、Copilotが間違えたときにも気づけます。

数字の傾向を、色で見やすくする

Copilotは数式を作るだけではありません。

達成率の列を、数字が高いほど濃い緑、低いほど薄い色にしてください。

これはExcelの「カラースケール」という条件付き書式の機能ですが、機能名を知らなくても大丈夫。「数字が高いほど濃い緑に」と完成形を伝えれば、そのとおりにしてくれます。機能の名前は分からないけれど、どう見せたいかは分かっている。そんなときこそ役に立ちます。

頼み方のコツ

たとえば「この名簿をいい感じにしてください」。これでは何をしてほしいのか、Copilotにも分かりません。並べ替えたいのか、重複を探したいのか、住所を分けたいのか。

意識するのは3つだけです。

  • どの表のどの列を対象にするのか
  • どうしてほしいのか
  • どんな見た目にしたいのか
この名簿を、氏名のふりがな順に並べてください。
氏名と電話番号が両方同じ人を探して、背景を黄色にしてください。

特別な言葉を覚える必要はありません。人に仕事をお願いするときと同じ感覚で、「この表のこの列を、こうしてください」。それで十分伝わります。

レベル3:ミスを防ぐ「守りの効率化」

最後はレベル3。ここではCopilotに何かを作ってもらうのではなく、自分が作った表を確認してもらいます。

Excelで本当に怖いのは、作業に時間がかかることよりも、間違った数字をそのまま提出してしまうことですよね。どれだけ速く表を作っても、入力ミスや数式ミスが1つあれば、確認と修正に余計な時間がかかります。

そこでCopilotを、2人目の確認担当として使います。速く作るための「攻めの効率化」ではなく、間違いを減らすための「守りの効率化」です。

二重登録を探す

顧客名簿で、同じお客様を2回登録してしまうことがあります。ただし同姓同名の方もいますから、氏名だけで重複と判断するのは危険です。

この名簿の中から、氏名と電話番号が両方同じ行を探して、背景を黄色にしてください。
まだ削除はしないでください。

ここで大切なのは、すぐに削除しないこと。 本当に同じ人なのかは人間が確認します。重複だと判断できてから、はじめて削除をお願いします。

重複している行を削除してください。

最初から削除してもらうのではなく、まずは問題のある場所を見つけてもらう。 この順番がおすすめです。

入力漏れを探す

申込者の一覧で、電話番号が入っていない、メールアドレスが空欄になっている。数件なら目視できますが、100件・200件と増えると見落とします。

電話番号の列が空になっている行を赤くしてください。

ただし、正しい電話番号はAIには分かりません。 抜けている場所を見つけるのがAI、正しい内容を確認して入力するのが人間。この役割分担が大切です。

日付の矛盾を探す

開始日と終了日が入った予定表で、終了日が開始日より前になっている行。数が多いと気づきにくい間違いです。

開始日よりも終了日が前になっている行を探して、赤くしてください。

同じ要領で、こんなチェックにも使えます。

  • 数量がマイナスになっている行を探してください
  • 単価が0円になっている商品を探してください
  • 売上金額が「数量×単価」と一致していない行を探してください

ただし、最初から多くの条件をまとめて指示すると、かえって確認しづらくなります。 重複を探す、空欄を探す、日付の矛盾を探す。1つずつ進めてください。

品質チェックでいちばん重要なのは「順番」

「間違っているところを全部直してください」と頼むと、Copilotはこちらの意図とは違う方法で修正してしまうことがあります。

ですから最初は、こう頼みます。

間違っている可能性があるセルを一覧にしてください。
まだ修正はしないでください。

Copilotが見つける → 人間が判断する → 確認してから直す。 この順番にすると、安心して使えます。

Copilotを使うときの注意点2つ

1. 結果は、必ず自分でも確認する

Copilotは便利ですが、必ず正しい答えを出すわけではありません。

数式で参照する範囲が1行ずれている。氏名や住所の区切りを間違えている。指定した場所とは別の場所を変更している。こうしたことは起こります。

数式を作ってもらったら、1件だけでも自分で計算して、値が合っているか確かめてください。氏名や住所を分けてもらったら、最初の数件だけでなく、途中と最後のデータも見ます。

全部を自分で作る必要はありません。でも、最終的に正しいかどうかを判断するのは自分です。もしCopilotが違う変更をしてしまったら、Ctrl+Zで1つ前の状態に戻せます。 一度戻して、指示を言い換えてみてください。

2. 大切なファイルは、コピーを作ってから試す

いきなり本番のファイルを編集してもらうのは、やっぱり怖いですよね。最初はファイルのコピーを作って、そのコピーで試してください。

特に、複雑な数式が入っているファイル、複数人で共有しているファイル、元に戻せなくなると困るファイル。こうしたものは全部コピーしてからで十分です。慣れてきたら、少しずつ実際の作業に取り入れていきましょう。

まとめ:使い分けができる人が、いちばん速い

ExcelのCopilotの使いどころを、3つのレベルでおさらいします。

  1. レベル1:単純作業 — カレンダー作成、氏名や住所を分ける。完成形を伝えるだけの下ごしらえ
  2. レベル2:関数と見える化の補助 — 組みにくい数式を作ってもらう、色で傾向を見せる。ただし連番のように自分でやった方が速いものもある
  3. レベル3:品質チェック — 二重登録、入力漏れ、日付の矛盾を探してもらってミスを減らす

さらに短くすると、面倒な作業は任せる。難しい数式は相談する。最後はチェックしてもらう。 この3つです。

Copilotを使うからといって、Excelの知識が要らなくなるわけでは決してありません。関数の名前を全部暗記する必要はありませんが、何をしたいのか、出てきた答えが正しいのか、どこを確認しなければいけないのか。 これを判断するための基礎知識は、これからも必要です。

全部を一気に使おうとしなくて大丈夫です。「これなら自分の仕事でも使えそう」と思ったものを、1つでいいので試してみてください。

Copilotを上手に使える人は、何でも丸投げする人ではありません。自分でやった方が速いものと、AIに任せた方がいいものを、きちんと分けられる人です。

動画とお問い合わせ

▼ 実際の画面で動かしているところは、YouTube版でどうぞ
https://youtu.be/ZRrQ_3xA-5o

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